セキュリティ・キャンプ修了生インタビュー第一弾 ~伊東道明さん~
#伊東道明セキュリティ・キャンプ修了生にセキュリティ・キャンプの魅力などを語ってもらう修了生インタビュー第一弾。
セキュリティ・キャンプを経て自身のキャリアにどのような影響を与えたのか、現在の活動内容をお聞きします。
今回はセキュリティ・キャンプ2015全国大会修了の伊東道明さんにお話をお伺いしました。
セキュリティ・キャンプは切磋琢磨できる仲間が見つかる場所
まずは伊東さんとセキュリティ・キャンプとの関わりを教えてください。
セキュリティ・キャンプ全国大会2015に参加し、セキュリティ・ネクストキャンプ2019で講師をしました。
セキュリティ・キャンプに参加したきっかけを教えてください。
セキュリティ自体は研究室の同期と一緒に学び始めました。同じ大学にセキュリティ・キャンプ修了生がいて、その人からセキュリティ・キャンプの紹介を受けたのがきっかけです。
その人はとてもネットワーク分野において優秀な方で、憧れの存在でした。「セキュリティ・キャンプに行くと、そういう人達がいる、一緒に学びたい」という一心で応募しました。
セキュリティ・キャンプに参加してよかったことは何ですか?
同じ分野に興味を持った同年代の知り合いが増えたことです。技術について語りあうことができ、話すだけで楽しいです。横のつながりが一気に広まったと感じました。
今でも Twitter などでコミュニケーションしていますし、食事にも行っています。
アカデミックと産業の差を感じて起業
キャンプ修了後の今、何をしていますか?
キャンプ修了後は Cpaw という団体を設立したり、ICTトラブルシューティングコンテストの運営をしたりしました。
その他、学会や セキュリティ・キャンプフォーラム で賞を頂いたりしています。
今は、ChillStack という会社を立ち上げ、機械学習を用いた不正ユーザー検知サービスを開発しています。
機械学習を始めたのはセキュリティ・キャンプ後です。セキュリティ系の研究室もあったのですが、他の分野をセキュリティに紐づけたいと考え、機械学習系の研究室を選択しました。
当時、機械学習は今ほど盛り上がっていなかったため、まとまった書籍などはそれほどありませんでした。
なので、PRML1を読んだり、論文を読んでそれを実装したりして独学で学びました。
それからセキュリティx機械学習をテーマに不正HTTPリクエストの検知などの研究をして、いくつか賞を頂きました。しかし、研究した技術が利用されないというアカデミックと産業の壁を感じていました。
そこで会社を立ち上げ、最新の研究成果を活かしたプロダクトを提供しようと決意しました。
実は元々ゲームが好きで、高校生の頃からFPSやMMORPGのゲームをプレイしていました。しかし、チートやボットを利用した不正ユーザーがたくさんいることに、非常に嫌な思いを多くしてきました。 そこで、まず研究で得られた技術を用いて、ゲームの行動ログや通信ログから導入するゲームタイトルに最適な不正ユーザー検知モデルを提供するサービスを作ることにしました。
こんなにアクティブに動けるモチベーションは何ですか?
私の中で物事をきめる基準は「誘ってくれる人が面白いか」と「その物事が面白いか」です。
お金とか全然気にしなくて、人生楽しく生きるのが一番だと思っています。だからホイホイやりすぎているだけかも(笑)
セキュリティから離れても良い。自分が好きなことに挑戦をする。
セキュリティ・キャンプに参加する意義は何だと思いますか?
セキュリティ・キャンプに限った話ではないんですが、自分が学びたいと思って学ぶものには偶発性がないと感じています。
ネットニュースも最近はパーソナライズされていて、新しいものに出会えない、自分が興味のあるものにしか手を出さないという問題があります。
セキュリティ・キャンプはそういう偶発性を作り出すのがうまいと感じていて、様々な分野があり、自分があまり好きではないと思っていた分野にも触れることができるんです。 そのおかげで、視野が広まりましたし、色々な方々と出会えるきっかけにもなりました。
これから挑戦したいことはありますか?
機械学習xセキュリティがまだまだ一般化していないため、その分野の普及と発展を目指したいです。
セキュリティ・キャンプに興味を持った人にメッセージをお願いします
セキュリティ・キャンプに参加しなくてもすごい人にはなれると思いますし、実際に私の周りにもいます。
じゃあ、キャンプってなんだろうっていうと、すごい人になる近道なんだろうなと思います。
近道は利用して、楽しんでほしいと思います。
「セキュリティ・キャンプに参加したから、セキュリティの道に進まないといけない」と思い込んでいる人がいると思いますが、セキュリティから離れても良いと思っています。
どちらかというと私も開発寄りです。セキュリティが他の人よりできるからといって、その道に進む必要は全くないと思います。自分が今好きなこと、興味あることに挑戦することが一番人生楽しめるのかなと思います。
- C.M.ビショップ 著『パターン認識と機械学習』(丸善出版) [return]