セキュリティ・キャンプ アワード 2024 レポート #3: 「セキュリティLTのすゝめ」
セキュリティ・キャンプ修了生たちの日常的な研究や活動に注目し、修了生の活躍の場、発表の場としてセキュリティ・キャンプ アワードを開催しました。
一次審査を通過した方にインタビューを行い、修了後に取り組んだプロジェクトや活動についてお伺いしました。
第3弾は、『セキュリティLTのすゝめ』を発表されたセキュリティ・ミニキャンプ 2022 オンラインのグループ「近畿キッズ」の浅沼さん、奥野さん、小林さんにインタビューしました。
- アワードレポート #1: 「チャレンジ講師への挑戦と講義における工夫」
- アワードレポート #2: 「One Million ASUS Routers Under Control: ASUSルータに搭載されているDDNS機能の脆弱性と認証情報の取得」
- アワードレポート #4: 「CPUからWebサーバまで全部作る!森羅万象プロジェクト ~コンピュータ学習の入口になることを目指して~」
セキュリティ・キャンプへの参加のきっかけ
ーー よろしくお願いします。まず、最初に自己紹介をお願いします。
小林)
大学院でネットワークセキュリティの研究をしています。
もともとセキュリティに興味があって、その勉強方法を調べる過程で SecHack 365 やセキュリティ・キャンプの存在を知りました。
その後、2022年のミニキャンプオンラインに参加して、2023年の全国大会に参加しました。
もともとセキュリティに対しては難しそうというイメージがあり、何から勉強すればいいか分からない状態でした。ミニキャンプだけですべてを理解することはできませんが、何から勉強すればいいかとか、きっかけを与えてくれました。そして、セキュリティ界隈とのつながりができて、情報収集の幅が広がったと感じています。
奥野)
専門学校のゲーム学科に通っています。
とあるゲームのクローズドなコミュニティに所属しているんですが、そこで知り合った人にセキュリティをやっている人がいて、それをきっかけに X 上のセキュリティ界隈の人たちをフォローしたところからセキュリティに興味を持ちました。その後、2022年のミニキャンプオンラインに参加しました。
もともとセキュリティに興味は持っていなかったのですが、ミニキャンプに参加したあとはゲームセキュリティをやっていきたい気持ちになりました。
学校ではゲーム開発をしているので、ゲーム開発の視点からセキュリティを学んでいきたいと思っています。
浅沼)
大学院で暗号とユーザブルセキュリティをテーマに、「どうすれば暗号を分かりやすく伝えられるか、暗号に興味を持ってもらえるか」というような研究をしています。もともとセキュリティ・キャンプに興味はあったんですが、なかなか参加できず…。全国大会は年齢制限に引っかかり参加できなくなったので、2022年のミニキャンプオンラインに参加することになりました。
参加後はさらにセキュリティに関心が高まりました。自分は大学で暗号の分野を専門にしているのですが、ハードウェアや AI セキュリティといった色々な分野の知識を得ることができたのもミニキャンプに参加して良かった点ですね。
ミニキャンプ後の LT 活動について
ーー みなさんはセキュリティ・ミニキャンプ オンライン 2022のグループワークのメンバーなんですよね?
浅沼)
はい、そうです。ミニキャンプのグループワークでは参加後に継続して実施したいことを話し合いました。そこで「グループ内で LT をやっていきたい」ということになり、継続して実施してきました。
ーー なぜ LT をやろうと思ったんですか?
浅沼)
グループメンバー全員が異なる分野に興味を持っていました。異なる分野の話を聞くと色々な知識が身につきますし、定期的に連絡する機会を設けたいと思い、各々が興味のあることを勉強して LT として発表することにしたんです。
ーー 当時はオンラインでしたよね。1年以上継続しているのは素晴らしいと思います。なにか工夫をしたこととかありますか?
浅沼)
自分は気軽にやる、というのを意識していました。楽しく負担にならない程度で行っていたのが継続の要因だと思います。
小林)
技術の話もしたいですが、それだけだと続かないので…。なるべく、全員が参加できるように、オススメの美味しいお店の LT とかもしました。
ーー 美味しいお店の LT 良いですね笑
小林)
全員が関西圏に住んでいるので、「今度行ってみるわ」みたいな会話になったりもしました。
あとは、2,3週間に1回はやるというルールを設けて、長期間空けないというのが継続できた大きな理由だと思います。
ーー 継続していくうえで難しかったことはありますか?
浅沼)
最初のコミュニケーションは難しかったですね。
小林)
グループワークでは修了後の最初の3日間でやることを考えていたのですが、キャンプ期間中に初回の LT を実施できたのが良かったかもしれません。
ーー キャンプ期間中だとコミュニケーションを取りやすいですからね。最初に少しだけでも実施すると波に乗りやすいですね。
ーー これまで LT は何回ぐらい開催したんですか?
浅沼)
今週で24回目なので… これまでで23回実施しています。
ーー 今も継続しているんですね、素晴らしい。
LT 活動を振り返って
ーー これまでで面白かった LT とかありますか?
浅沼)
印象が強かったのはやっぱり美味しいお店の LT …笑
奥野)
技術的な LT だと小林さんの「コマンドだけでコンテナを作る」というものが印象に残っています。
小林)
書籍を読んだのがきっかけで、それをアウトプットしていましたね。
浅沼)
コンテナの監視のツールの話とかも。
小林)
夏ぐらいに自作PCを作ったので、その監視基盤として Prometheus や Grafana を使ったので、その話ですかね。
ツールの使い方とかイベントに参加してきたことも LT として発表していました。
ーー なるほど、初学的なことでも知らない人にとっては面白いですよね
小林)
はい、自分もイベントに行って初めて知ることが多くて。だから、自分もあえて初学的なことも話すように意識していました。
ーー インプットしたことを自分なりに整理してアウトプットすることができそうですね
浅沼)
はい、インプットもアウトプットもできるのが LT のいいところですね
ーー LT で心がけていたこととか、工夫はありますか?
浅沼)
自分が面白いと思ったものを話すことを意識しました。他の人が楽しくやっている姿を見るのが好きで…。その人が楽しそうに話しているのをみて、自分も面白そうだなと思うことが多くて。なので、自分も面白いと思うものを話して、他の人にも興味を持ってもらえたらなと思っています。
奥野)
学校では人前で発表することがなかったので、発表自体の工夫をしていました。
どうすれば相手に伝わりやすいか、逆に伝わりにくい点はないかなどを考えて、発表の練習をしていました。
ーー LT をやって良かったと思う点はありますか?
奥野)
就活のネタにしやすいことですね…笑
面接ではこの話でも持ち切りだったこともあります。
小林)
三人とも感じていることになりますが、LT は知識の整理ができますね。
こういう機会がないとアウトプットをしないので…。アウトプットするために自分の中で理解をするという、そういう良いプレッシャーを感じながらできています。
あと、3人とも全員分野が異なるので「伝え方」を学ぶことができました。分かりにくいことは質問として返ってくるので、初学者がどこで躓くのかといったことに気づいたりしました。
ーー LT がインプットやアウトプットの機会となっていて素晴らしいですね。今後もぜひ、活動を続けてください。